前回19セイコーの入手をご報告しましたが、今回は主に外観のレビューをしていきます。
正面からの写真です。ブレゲ数字と丹念に青焼きされた針が美しい。
SEIKO表記の下にある"PRECISION"という文字は別にブランド名という訳ではなく、「精密」という意味の英単語。今じゃセイコーの時計がトップクラスの正確さを誇るのは世界常識ですが、当時はまだ国産時計への信頼はそれほどでもなかったのでしょう。時代背景が感じられる表記です。
特徴的なのはスモールセコンドと呼ばれる独立した秒針ですね。実はこの時計に惹かれた理由だったりします。実用できる国産品の中でこの方式を採用しているのはこの時計くらいのものなのです。海外製は情報量が少なく偽物を判別できるだけの知識がないだけで、別に国産崇拝の気はありません。
大きさを測ってみました。形状は真円なので縦横共に5㎝程です。この時計を手にして最初に思ったのは思ったより小さいなということでした。それでも腕時計とは比較にならない大きさではありますが。ちょうど手のひらにすっぽり収まるサイズです。
でかっ! 裏蓋をみてみましょう。
国鉄納入品の証である刻印もはっきりと残っています。昭和34年というと1959年ですから今からざっと60年前です。すごいなウチの親父より年上だ。
それにしても懐中時計は基本的に手に持って使用するのにこれは裏蓋が全然酸化していません。ワンオーナー品だと伺っているので元の持ち主が大切に扱っていたのでしょう。時計が高級品だった時代を垣間見るようでうれしいです。けれど僕は頻繁に手に取って眺めたいので、近いうちに保護シールを貼って酸化を防ぎたいと思います。刻印が見れないのは残念ですが。
竜頭周りです。だ円形の紐通しがレトロな雰囲気を更に引き上げています。僕のモデルはセコンドセッティング(秒針停止機能)のみがついた前~中期の7石モデル。後期型の15石モデルはゼンマイがダイヤフレックス(耐衝撃ぜんまい)に改良され、紐通しも真円形になります。竜頭の形状も変わります。
実用性でいえば15石モデルに軍配が上がります。ただ、青針15石はお高いので...
もちろん値段だけでなく僕は文字盤がシンプルなこちらが好みです。
あんまり近いと顔映っちゃうので気を遣います。
見ての通り防水性の低いはめ込み式(スナップバック)です。でもしっかり嵌っていて簡単に開いたりはしません。開け口以外は目を凝らさないと分からないです。しかし外で普段使いできるかと言われれば、ほぼ無理と言わざるを得ません。これは7石だろうが15石だろうが同じです。クォーツモデルならなんとか...といったところ。
分厚いです。友人曰く「結構重い」とも。
こんもりしたドームガラスがいい雰囲気ですね。
総評としてはレトロな雰囲気が本当におしゃれないい時計です。貴重なスモールセコンドもGOOD!
鉄道時計としての質実剛健さを取るなら15石の黒針モデルを選ぶ方が良かったかもしれませんが、僕は芸術性の高いほうを選びました。
同じものを今のセイコーが作れば30万~40万はくだらないという話をネットで目にしました。さもありなんといった出来です。興味のある方はどうぞ。
お読みいただきありがとうございました。
この時計が本当に凄いのは現在まで作り続けられていること。現行品はこれです。