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時計王国諏訪を歩く① 〜儀象堂 時の科学館

時計 諏訪

やって来ました!諏訪!!

このブログをお読みの方はご存知かと思いますが、私セイコーダイバーズが大好きです。時計に興味を持ってから高級メーカー含む色々な方の時計を見せて頂きましたが、やはりセイコーの時計の持つ「シンプルさ」「実直さ」が私は一番好きです。特にオールドセイコーから時計の世界に入った身としてはいつかは諏訪の地を訪れたいと思っていました。今回予定外の休日を頂いたので一泊二日、諏訪の町を歩き倒しました。

 

時計 諏訪

今回のお供はこの3本。

ロードマチックは言わずもがな諏訪精工舎製ということで今回何十年ぶりかの里帰りです。ボーイは着けたいから持ってきた(どっちかってと亀戸の系譜だけどね)。ツナ1000は諏訪湖で着けて撮りたいなと思ったのですが、これも元は諏訪に縁のある時計。

 

時計 諏訪

鈍行列車に揺られ4時間。下諏訪に到着です。特急代ケチりました。

ちょっと大きめなこと以外は普通の田舎の駅という感じです。東京郊外と変わりません。

 

時計 諏訪

さすが時計の町、初っ端から期待を裏切りません。「SEIKO寄贈」の文字とともにいかにも良い雰囲気のグロックです。他にも町中いたるところで面白いクロックが見られましたが、あんまり写真載せると表示が重くなるので一部のみのご紹介です。こういう時はインスタに投稿してますので良ければそちらもご覧ください。


時計 諏訪

改札を出ると町の産業を一まとめにしたコーナーがありました。加工・機械関連が占める割合が多くやはり技術の町なのだと分かります。この町での私の目当ては中央下のコーナーにある「儀象堂 時の科学館」です。

 

時計 諏訪

駅舎の入り口に一対の柱。諏訪といえば普通の人は諏訪大社御柱祭でしょうか。4〜5階建てほどもあるこの巨木を切り出して町へ運び柱に乗って斜面を下る。どうしてそんな危ないことをと思いますが実際にこの木を見ると自然に湧き出る畏敬の念には説得力があります。人間が大自然を敬うのは当然なのか。

驚いたことに、立て札によるとこの木がここに建てられたのは私が生まれたのとほぼ同時。私が生まれてからずっとここに建っていることになります。私にとっての「大きなのっぽの古時計」ですね。

 

時計 諏訪

歩いて15分ほどで目的の場所、「下諏訪今昔おいでや 儀象堂」に到着しました。

諏訪大社「秋宮」のすぐそばにあります。写真の時計塔はかつて錦糸町精工舎にあったものであり、今でも1時間に1度鐘を鳴らして時間を知らせてくれます。

 

時計 諏訪

入館料を払って中へ。右の階段を上がると展示室となります。左のドアは時計組み立て体験ができる工房ですが、この後諏訪大社も回りたいので今回は見送り。階段脇にずらりと並ぶ掛時計に否が応でもテンション上がりますね。

 

時計 諏訪

階段脇に下諏訪の歴史と儀象堂についての概略が書かれたプレートがあります。展示室に直行したいところですが気持ちを抑えて、まずは中庭にある「水運儀象台」を見に行きます。

 

時計 諏訪

これが西暦1000年頃に中国の宋で作られた「水運儀象台」です。天文台も兼ねたこの時計はおよそ500年後にヨーロッパで作られたアンクル脱進機付きの機械式時計と比べても遜色ない素晴らしい精度だったと言われているようです。その誤差一時間に一秒程度。

製作からわずか30年後に北方の異民族による襲撃(中国史ではお馴染み)でこの儀象台は破壊されてしまうのですが、設計者が皇帝に儀象台の設計図や用法などを細かく記したいわば「説明書」を献上しており、それを基にセイコーの協力のもと復元したのがこの水運儀象台です。

 

時計 諏訪

左の扉から入って内部を見学できます。最初入れると分からなかったので驚きました。

 

時計 諏訪

内部は複雑怪奇...一時間に一回人形が一回転するのですが、これでどうやって時刻を知ることが出来るのか仕組みがまるで分かりません。人形は一体一体丁寧に作りこまれてます。

色使いといい人形の顔つきと言いやはり中国文化はそれとわかる独特の特徴を備えていますね。特に人の顔の表現にそれが良く出ると思います、聖天宮を訪れたときに感じたものと同じ既視感を覚えました。極めつけは龍。龍は中国において権威と切っても切れない存在の様です。

 

 

時計 諏訪

水力発電となっており、水輪と呼ばれるこの水車についた枡に水がいっぱいまで溜まることで重みで水車が一回転します。ガコンガコンと大きな音を立てて等間隔で回る水車を眺めているだけでも楽しいです。作動の様子をインスタに上げてます。

 

時計 諏訪

二階にあるこれは「渾象」といい星の位置や星座をかなり正確に記録したものだったそうです。天文学は国家存亡を占う学問であり、儀象台は権威の象徴であったと説明書きにはありました。

窓からは下諏訪の町並みがよく見えます。

 

時計 諏訪

儀象台をたっぷり堪能していよいよ展示室へ。

階段を登り切るまでずらりと掛時計。全てゼンマイ式で精工舎製・イングラハム製・ユンハンス製など様々。一部は動かして下さってます。

私を含む若者は俗にいう「ぜんまい」というものの姿かたちを知ってはいても、それを何に使うのかどう使うのかを知っている人はほぼ皆無でしょう。掛け時計に差し込んでねじを巻くのが子供の日課だったなんて言われてもピンと来ないしそういうのは小説の中の出来事です。実際にその日の朝そうやってねじを巻かれた時計が目の前で動いているという事実に、なにか感動しました。

 

時計 諏訪

おぉぉ!おらワクワクすっぞ!

自分がいま時計の聖地にいるのだという感覚をビンビンに満たしてくれますね。何から見ようか。

 

時計 諏訪

左の壁沿いから年代順に時計の歴史が図解付きで説明されています。水時計から和時計、西洋式時計の伝来、そして現代の時計つくりまで。諏訪の時計作りのハイライトはやはり腕時計になってからなので展示品はそれ以降の比重が大きいですね。

和時計にはあまり興味が無かったのですが時の展覧会で見た万年自鳴鍾は工芸品として素晴らしい作品でしたし、時計というよりも美術品の観点で見ているかもしれません。

奥に見えるのが表の時計塔の内部機械です。

 

時計 諏訪

思わぬところで遭遇、ジャガールクルトのアトモス。1℃の気温の変化で一日分のぜんまいが巻かれる(気温は毎日ほぼ確実に変動する)、さらに非常にゆっくり動くので定期メンテナンスがほぼ必要なく半永久的に作動するトンデモ置き時計。欲しい。

大きさもそんなでもないしいつか金持ちになったら...

 

時計 諏訪

腕時計はセイコーのみですが色々なモデルが展示してあって勉強になります。写真で見るのとは大きく印象が異なるモデルも多かったです。何故か4sサスもあったり...

こういう切り抜きとかと共に展示してくれると製品の持つ世界をより深く堪能できますね。

 

時計 諏訪

私は文字盤が小ぶりな凝縮感のある時計が好きなようなので(ダイバーズも然り)、こういう時計は好みドンピシャです。

ネットの写真ではあまり良さが分からないモデルだったのですが欲しくなってしまいました。

 

時計 諏訪

儀象堂ではロードマチック。久々の里帰りで故郷の空気が美味いのか、すこぶる調子が良いです。そろそろOHを...といってからもう2年経ちます。部品が壊れる前に。

 

時計 諏訪

ファイブアクタスが諏訪最後の機械時計だったのか...

 

時計 諏訪

こんな感じで初心者でも時計の仕組みをばっちり把握して帰れます。

触って遊べて知育にとても良い博物館だと思いますが、子供が騒ぐと静かな良い雰囲気がぶち壊しになりそうで...やはり大人向けですかね。

 

時計 諏訪

ゾウの時間、ネズミの時間。儀象堂を訪れる人には定番らしい5秒チャレンジ。

2回やって2回とも5.8秒でした。結構しっかりしてる方?

 

時計 諏訪

おぉ...何と俺得な組み合わせよ。

計時の分野におけるセイコーの貢献度は絶大でしょうな。今はダイビングコンピューターが全ての機能を補ってくれるんでしょうけど、その開発・発展のルーツには間違いなくセイコーの存在があるわけですから。詳しくは「ダイバーズウォッチ進化論」を読め。

 

時計 諏訪

クリスタルクロノメーターのカットオフ(カッタウェイ)。

隣にこの時計の開発者のインタビュー記事があり、このサイズまでクォーツを小型化するまでの苦労、そしてそれ以上のワクワク感が読んでいて伝わりました。もう小型化も行き着くところまで来た感じがありますが、柱時計サイズのものを卓上サイズまでというのは具体的に凄さが分かりやすく、作り手も受け手も「凄い物ができた」という実感を得やすかったろうと思います。

 

時計 諏訪

最後の方に機械式時計と水運儀象台の機構を比較した解説パネルがあります。本来比較するのがおかしい年代の開きがあるのですが...古代中国恐るべし。

 

時計 諏訪

というわけでなんだかんだ3時間以上入り浸ってしまいました。ちなみにその間誰も展示室に来なかった。どうも皆さん組立体験と儀象台だけ見て満足して帰っちゃうみたいです。

ありがとう儀象堂!また来るぜ!

 

時計 諏訪

寄ってきました諏訪大社

地域生活編へ続く...