クラウン S&W M66 エアリボルバー レビュー
357マグナム。対人用を想定される中で最大級の威力を持つこの弾薬は、同じくメジャーな9mmパラベラムや45ACPとは比較にならない威力を持ちます。現代においてリボルバーの存在意義はこの「マグナム」を撃つことができる点に大きく偏っているといえるでしょう。
絵的に映えることから創作で大活躍なマグナムリボルバーですが、最も有名と思われるのが次元大介のコンバット・マグナムM19です。そんなM19のステンレス(シルバー)仕様がM66。というわけで今回紹介するのはクラウンのエアリボルバー、M66です。手持ちのM10にターゲットグリップ(コークグリップ)を付けたくなったのですが、グリップ買うよりこの銃買う方が安いので買っちゃいました。クラウン製品を買うのは初めてです。
実売¥3500ナリ。この箱の写真がまた良いです、絶妙に子供がワクワクする雰囲気というものを心得てます。小さい頃に誕プレで買ってもらったサンダーバード2号の箱を思い出します、飽きもせず永遠眺めていたっけなぁ...この箱は取っておきます。
素晴らしい。この本体見た瞬間に買って正解だったと大袈裟ではなく確信出来ました。とても¥3000弱の製品とは思えない質感の高さ。現状タナカのモデルガンにM66はないのも満足感が高いです。
逆に付属品は徹底的に省力化されていて画面左の「M66〜」とある部分もマルイの様な紙箱ではなく板紙が嵌め込んであるだけです。いいですね、労力は全て本体に注いで欲しい。
では本体を見ていきましょうか。
一番感動したのがこのグリップ。プラですが素晴らしい出来で、タナカの純正グリップで満足できる私には十分すぎる程のクオリティです。大柄なマグナムリボルバーより細身でクラシックなモデルの方が好みなのですが、この握り心地は代えの効かないものがあります。ハイパワーの握り心地の良さに通じるものがある。
以前述べたように私的グリッピングNo.1の銃はブローニング・ハイパワーであり私にとって握り心地はこの銃が基準です。つまり最高に握りやすい部類です。
リボルバーの"顔"であるシリンダー・サイドプレート周りに塗装のヒケは無し。粒の細かい硬質感のある材質がニッケル仕様ではなくステンレスであることを主張してます。トリガー・ハンマー・サムラッチ(シリンダー操作レバー)・リアサイトはプラの成型色のままです。箇条書きにすると結構多いのですが塗装面と違和感なく馴染んでいます。
MADE IN TAIWANのシールが貼ってありますがこれが安さと高クォリティの秘密の様です。最近の台湾製品の良さはネットでもよく目にするところですからね。敬意を表してこのままにしてあります。
分かる人には分かる感涙ものの光景。
材質的にも構造的にもどうやっても実弾は発射不可だもんね。手動で動かすエアリボルバーだと一層説得力が増すというもの。
ハンマー根元に圧縮した空気をタンクに送るエアチューブが露出しているのが数少ない欠点。陰になっていて覗き込まないと見えないのは幸い(エアチューブが映るように上の写真はかなり意地の悪い構図で撮ってます)。タンクはグリップ内部にあり、これが原因で実銃規格のグリップは付きません。同じエアリボルバー間なら大変労力がかかるものの付け替えできるようです。
外部リソース(電気・ガスなど)に頼らず空気圧縮だけでBB弾を飛ばすので、ハンマーのコックは10禁でもかなり力が要ります。観賞適性が高すぎてBB弾撃てること忘れがちですが。
お待ちかね、リボルバーの醍醐味はこれでしょう。
気になる操作感ですが全体的に固め。サムラッチの可動域はモデルガンと比べ少し狭く、シリンダーは出すときには抵抗なくスルッと出てくるが戻すとき必ず少し引っかかる。ハンマーは上記の通り重たい。トリガーもダブルアクションではガク引きになります。まあ正直...そんな操作感もクセになるんですが。本当に最高のおもちゃです。
エジェクターロッドもしっかり可動。モールドは一つもなく動かせるものは全て動くという完璧な仕様です。何度でもいうがこの価格で。後退量は僅かですがしっかりカートを排出し、視覚的にも満足感があります。チーフスペシャルよりも少し少ないくらいの後退量です。
モデルガンに迫るクォリティの本体と比べて安価なプラスチック感全開のカートですが、オプションで金属カートも用意されており、識者によるとこれがかなり効果があるようです。専用のスピードローダーまであるらしい。本当に至れり尽くせりの良心的なメーカーですね。利益出てるんか...
でもこのプラのカートが手慰みに本当に最適というか、慣れるとかなり味わい深いんです。モデルガンは高級模型ですので扱いに気を遣いますがこれは本当に気が向いたらひょいとつかんで遊べます。「手軽さ」というのは本当に大事な要素だと思いますよ。売っても金にならないのもありますが、手元に最後まで残るリボルバーはこいつでしょう。
握ってみるとくぼみが親指のレスト位置としてジャストフィット。自然な感じで指の置き場所が決まります。大柄なマグナムですがこれでもKフレームなので全然小柄な部類(J→ K→L→N→Xの順)。 この銃が世に出た当時357マグナムは巨大なNフレームでしか撃つことが出来なかったので、このサイズでも小型モデルとして画期的な製品だったでしょう。
ハンマーを起こさなくてもダブルアクションでシリンダーを回転できる完璧仕様ですので不発でも安心。エアリボルバーに不発はまず無いが。
全てはここから始まった、元祖近代リボルバーM10との比較。マグナムの大きさが分かりますが同じ Kフレームです。マグナム弾の高圧に耐えるための各部の大型化やシリンダーの延長、反動を抑えるための大柄なコークグリップ等が差異になります。
でも実際に重ねてみるとそんなに変わらない。目の錯覚でしょうか?
中々良い感じに撮れたと思います。個人的にはマグナムならシルバー、派手な弾を撃ち出す銃ですから華がないとね。M19のような地味で堅実なマグナムもそれはそれで好きなんですが。
僕にとってバイオハザード1のニッケル・パイソンが至高の「マグナム」なのです。ベレッタを半マガジン撃ち込んでようやく倒れるゾンビを一撃で沈める威力。頭がはじけ飛ぶ演出。もう2度と味わえない爽快な喜びです、忘れようもありません。とはいえパイソンは実際に持つとギラギラしすぎているのです。あれはルガーと同じ「美術品」です。
さっきの写真は暗めだったので質感も分かりにくかったかもしれませんが、明るい場所でも質感の差が殆どないでしょ?褒めすぎかなぁ。
というわけでクラウン M66エアリボルバーのレビューでした。凄まじい完成度の高さにただ驚嘆の一言です。クラウンというメーカーを完全に侮ってました、もっと早くに知っていればなぁ...学生時代の良き友となったろうに。
同志はもちろん、銃に大して興味はないけど手慰みの一品が欲しい方、映画のお供にもぜひ。最高ですよ。