今日は手持ちのコレクションの中からセイコーマチック ウィークデーターを紹介したいと思います。後述しますが、かなり吟味して選んだモデルです。
僕が所持しているのは35石のモデルです。石とは時計内部の人口ルビーのことで、当時石の数が多ければ多いほど高級品という風潮があったようです。実際は15~17石もあれば十分で、それ以上はたいした意味がなかったみたいですが。セイコーは39石が最大だったようで、したがってこいつは当時高級品の部類に入るものだったのではないかと思われます。OH前提でとのことでしたが精度もバッチリです。
型番は6218-8971。62系と呼ばれるムーブを搭載しています。この時計の特徴として(62系の特徴でもありますが)、手巻き機構が搭載されていないことが挙げられます。理由はなんと自動巻き上げだけで十分だからというもの。竜頭は通常時にはケースに隠れるように収納されており、一段階引き出しで日付操作、二段階引き出しで時刻操作が行なえます。竜頭の破損防止には確かに効果があったと思いますが、それ以上に操作性が最悪です。竜頭いらず=手巻きはいらないということをアピールする要素が強かったのだと想像します。よほど自信があったのでしょう。事実巻き上げ効率は手持ちの中で一番よく、軽く一振りすれば動き出します。
僕がこの時計を選んだ最大の特徴である6時位置の曜日窓。アンティークは部品の摩耗やストックパーツのことを考慮すると一つでもパーツが少ないほうがいい。そう考えノンデイトのモデルばかり選んできたのですが、一つは曜日表示付きのものを持っておきたくなり見つけたのがこのウィークデーターでした。
6時位置の曜日フル表記。他にも太いバーインデックスやドルフィン針、ケース形状などあらゆる要素が僕を惹きつけました。正面から見るとデザインの妙がお分かりいただけるかと思います。セイコーマチックは長期にわたり製造されていたためバリエーションも豊かで、”ウィークデーター”の名を冠するものだけでも4~5種類あるようです。
僕はこの時計を入手するうえで叶えたい条件が二つありました。一つはスクリューバック方式であること。もう一つはウィークデーターの表記ありのモデルであること。本当はワンピースケースのものが欲しかったのですが無いようなのであきらめました。調べてみるとどうやら上記2つの条件を満たすのは一種類しか無いようで、それがこのモデル。ウィークデーターは文字盤に独楽のマークがあるものがメジャーみたいですが、スクリューバックではありません。ヤフオク!でもリダン(オリジナルではないカスタム品)のものが本当に多く、根気強く探しました。落札できた時はうれしかったですね。
この時計は俗にいう"セイコースタイル"の過渡期にあたるモデルらしく、ケース、特にラグ周りは独特で、いびつとさえ言えます。しかし全体的なデザインに破綻は無く美しい仕上がりです。
独特のラグ形状ゆえに弓管がピタッと嵌ったベルトを付けられないのが難点。カタログを見るに純正SSベルトが存在するようなのですが、かなりレアでしょうね。出品されてもおそらく何万もするので入手の機会は無さそうです。