記念すべき100回めの記事に選んだのは、
端正な顔立ちです。
シンプルの極みのような姿の時計ですが、当時それなりのお値段だった時計だけあり細部が普及機とはちょっと異なります。
まずこの針。GSと同等品で近くで見るとかなり凝ったものであるのが分かります。真ん中からサイドにかけての二次局面?デザインの知識が乏しいので適切な表現ではないかもしれませんが、手間のかかった三面構造です。
秒針はもう少し長かったらより良かったと思うんだけどな、でもここも凝ってます。
見えますか?入手したての頃は知識も少なく気が付きませんでしたが、風防のカーブに沿って秒針の先端がくぃっと曲げられているんです。気づいたときは本当に感動しました。手間がかかるようで手持ちの時計の中でも60年代生産のものに限られます。70年代くらいからきっとコストがかかるのでやめちゃったんですね。
国産時計の全盛期はクォーツショック前後の70年代かもしれないですが、普及品にも高級品と遜色ない拘りが見られるのは60年代の品の醍醐味だと思います。総じてスナップバックで防水性が低いのが難点ですが、作りこみの良さは素晴らしいです。
りゅうずも"S"マーク付きで普及品との差別化が図られてます。
この薄さ。
500円玉二枚分の厚みです。
この時計を求める方々の本命はやっぱりこれでしょう。
Cal.341。かのグランド・セイコー1stと(ほぼ)同一のムーブメントです。違いについては以前の記事で書きました。
手巻きの機械は美しくて見ていて飽きません。実用性というとやっぱり一番劣るのですが...部品点数が少なくて済む、単純なぶん頑丈で故障が少ない、油切れを起こしにくいなど利点は数多くあります。
裏蓋も凝った仕上げですね、ただ肝心のムーブメントは装飾なし。何故だろう。"15021"というのがクラウンスペシャルの製品番号です。(クラウンは15011)個体番号は裏蓋表面ではなく内部に記されています。この鶴マークが何なのかずっと謎だったのですが、セイコー勃興期を支えたさる伝説の時計師への感謝と尊敬をこめて彼の名の一字を記してあるようです。興味のある方はぜひ調べて見て下さい。
絵になる時計だよなぁ。でも実際使用する機会はほとんどないんですよね...完全に家で愛でる時計。コレクター向きです。
でもコレクターはこの手の時計はみんな金無垢(値段も上だった)に目が行くもんだから銀ケースは日陰の存在。おまけに色々見たところ金無垢の方が明らかに仕上げが上...つまりGS廉価版の廉価版...哀れ。それでも普及機とは一線を画する仕上がりですがね。
裏蓋なんかは明らかに金無垢のが凝ってる仕上げだったりします。
実用には銀一択だと思いますが(実際私もそう考えての購入でした)、そもそも実用の機会はそうそうないという...
でも、そういう不憫なところに惹かれたりしません?
というわけで100回目の記事はクラウンスペシャルでした。
とうとう100回、感慨もひとしおです。ここまで細々とブログを続けてこれたのは目を掛けて下さる皆様のおかげだと思っています。いつも本当にありがとうございます。どうかこれからもよろしくお願い致します。