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セイコー×ジウジアーロ・デザイン クロノグラフ レビュー -通称 "偏軸" 新たなデザインを確立した伝説的モデル

お久しぶりです。一応ひと月最低一記事を目標にしていますが今月は滑り込みでの仕上がりでした。納期はないのでたっぷり時間かけても良い訳ですがメリハリは大事です。というわけで張りきって セイコー×ジウジアーロ クロノグラフ のレビューをしていきたいと思います。映画「エイリアン2」の登場人物が着用し"偏軸"や"ビショップ"の名で知られる伝説的モデルです。

 

一目見て分かる異形。ベルトが本体からズレた位置から生えてます。袖に時計が隠れて時刻が読み取れない事態を防ぐために考案されたものです。

現代におけるクロノグラフの存在意義は①機械式の複雑な審美性の高さ②既にアイコンとして定着した竜頭+上下プッシュボタンの様式美、この二点にあるかと思います。僕がクロノグラフに求めるのは②です。①には興味ないので出せるのは~5万くらいまで。その中で個人的に最も素晴らしいデザインだと感じるのがシチズンのチャレンジタイマー、LIPのマッハ2000、そしてこのジウジアーロクロノです。

 

(画像は右記サイトからの引用です。URL:SEIKO SELECTION GIUGIARO DESIGN 2018限定モデル | セイコーウオッチ株式会社 (seikowatches.com)

 

オリジナルはセイコーが1980年代にカーデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏にデザインを依頼して作られた一連のシリーズの一作です。80年代のジウジアーロ人気は凄まじいものがあったようで、有名なデロリアンや多様な日本車デザインを手がけた以外にも電話機・カメラ・自転車・パスタと何でもござれ。まさに80年代を代表する「美の巨人」。そんな彼がデザインした時計は当然のごとく大ヒットし、今でも根強いファンがいます。

一度見たら忘れない衝撃的な風貌の時計ですが、主に「黒基調のデザイン」「偏った軸(芯)を持つ」というのが大きな特徴です。やはりこの時計を唯一無二としているのは時計本体が中心から外れた位置にある点ですが当時はそのカラーの衝撃度が高かったようで、今ではそこそこ見かける「黒い」時計は当時は大変斬新でカッコいいモデルとして注目を集めたらしい。後で触れますがカラーも含めて絶妙なバランスで成り立っているのがこの時計なんです。

本当はジウジアーロの代表作と言っていいデジタルクロノグラフも紹介したいところですが記事の趣旨から外れるのでこれくらいにしておきます。過去記事で触れたことがあるので後でご一読いただければ大変嬉しいです。

 

オリジナルでは左右2つずつだったボタンが右のみ3つに変更になりました。オリジナルとはムーブメントが違うので仕方ないがどうも正面から見ると迫力で負けている。プッシュボタンの材質がプラスチックであることやベゼルが両回転仕様なのはオリジナルと同じです。リプリーモデルは同じくプラだったボタンが金属製に変更になりましたが、このモデルが据え置きなのは材質もデザインの一部と判断されたからでしょうか?かなり目立つ部位なので金属製で試したらデザインが崩れてしまったのかもしれませんね。

カウントベゼル+チャプターリングで文字盤、ひいては時計全体が実際より小さく凝縮されて見えます。ダイバーズウォッチでお馴染みの様式ですが私はこれが大好きなのです。時計の精密機器感がグッと高くなります。

SEIKO CHRONOGRAPH と極シンプルな刻印も素晴らしいですね。近年のセイコー製品から失われてしまった良さの一つだと思います。

 

クロノグラフとしては標準的な厚みでしょうか。裏蓋は残念なことにはめ込み式です、オリジナルはねじ込みなのに...この薄型化と防水性の両立というのをどうも今のセイコーは苦手にしている節があります。4~5万の製品と15万の製品の厚みが殆ど変わらなかったり、高価格帯でもやたら分厚くて大きい製品が多かったり。そのあたりの技術はスイス勢に完敗していると感じますね。

2500本限定なのでシリアルナンバー付き。優れたデザインだと思いますが限定生産とはやはり小規模なニーズなのか...そう思うと復刻品なのにレギュラー化したSUSは凄いですね。時代に左右されない魅力があり且つオリジナル性があると判断されたのでしょう。あれなら確かに人に薦めやすいです。

ベルトはオリジナルと同じく巻き板、プッシュバックルです。重厚な雰囲気の時計ではないのでがっしりした重いステンレスベルトは似合わないでしょう。この点はチャレンジタイマーと同じですね。はめ込み式の時計からは防水性よりも軽さ、装着性を重視しているような印象を受けるので軽いベルトの方が統一感が出る気がします。デザイン的にも大きな構成要素の一つである独特なベルトですし下手に変更されなくて良かったです。

 

この時計を入手したのはギリギリ冬が終わる前だったので厚着での着用機会がありました。普通の時計なら半分は隠れてしまっているところ、偏軸のお陰でしっかり時刻が判別できます。確かに袖をめくる動作がいらないのは良いですね。ただ正直袖をめくるのがそこまで面倒に感じたことはありませんし、機能美ではありますがデザインとしての意味合いの方が強く感じられます。

とはいえそれは日常生活での話。ジウジアーロは一連のシリーズを「バイクや車を運転する際に着けるような時計」を意識しデザインしたのですから、運転中という短時間しか時計を見れずハンドルを握ったまま片手で時刻を確認しなくてはならないときには大変意味のある機能でしょう。やはり必要からくる「用の美」なのです。

 

デザインもストーリーも良いもの持ってるのに写真映えしにくい時計でして、置いた状態だと上の写真のように正直パッとしません。見る角度を選ぶ時計ですね。これはオリジナルと違うボタン配置ゆえか、あるいは色の問題か。

これが黒であればメカメカしさよりスポーティさが色濃く出て、より精悍で引き締まった印象を受けたことでしょう。そちらのほうがこのデザインとの親和性が高かったのかもしれません。当時珍しかった「黒」を時計のカラーリングに選んだのはそういったことを計算した上でなのでしょうか。いずれ入手して確かめてみます。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。