例のムーンスウォッチ、私は職場の同僚から聞いて知りました。どんなデフォルメがしてあるかと思いきやイメージを崩さない素晴らしいデザイン。これはぜひ手に入れなくてはと思いました。幸運なことに発売日は午後勤。
スピードマスターは時計史の中で間違いなく五指に入るモデルです。それぐらい人類が月に降り立ったことの歴史的意義は大きい。ただ機械式クロノグラフは複数持ちの身としては金に糸目をつけない（つけなくていい）真の好事家でないと見合わないものだと思っていました。なので今回のコラボは私にとって大変な驚きと喜びをもたらしたわけです。オメガファンの方からは特に厳しい視線で見られているようですがこれは仕方がないでしょう。オメガがスウォッチグループでなければ絶対にありえなかった企画だと思います。
前日に時間が取れたので偵察に行ってきました。
目を付けていたのは月・水星・地球・冥王星の四つでしたが実物はどれも発色が良く、キワモノだと思っていた火星・海王星・太陽なども十分実用に耐える仕上がりでした。ピンクの金星も女性であれば十分普段使いできる落ち着いた色合いだと思います。
店員さんに「何時から整列開始か？」と聞くと「10時30分に整理券の配布を開始します。」とだけ言われました。あとから考えればこの時にもっと突っ込んで話を聞くべきだった。
10時半から整理券配布ということは当然その前に争奪戦が起こります。前日のうちに支度は全て整え、始発の電車に間に合うように目覚ましをセットしました。少しでも情報を集めたくてSNSにかじりつくが公式HPや店舗のサイトには発売当日に関する詳しい情報掲示は何もなし。インスタグラムにも情報はほぼなし。唯一ツイッターからはそこそこの情報が得られましたが、個人のツイートばかりで公式からは同じく何の情報提供もありません。それでも久々の「祭り」にワクワクが止まりません。中々寝付けませんでした。
4時に起床。駅前でコンビニコミックのゴルゴ13を買い、トイレに行きたくならないように水分補給はなし、万が一のためにオムツ買っときゃ良かったな...なんて色々考えながら電車に揺られる。もう300人くらい並んでるのかなぁなんて思いつつ到着すると全然人が少ない。不審に思い店頭を確認するとこの張り紙が目に入りました。
うわぁ。
念のためツイッター見ると4時半くらいからぽつぽつ「行列禁止」「転売ヤー爆死」などのツイートがあります。個人のツイートは情報ソースとして信用していないのですが（とりわけ今回のようなケースでは少しでもライバルを減らそうと色々な人がデマを流します）こういうことは公式サイトに、それも検索してすぐに出てくるように配慮しておくべきではないのか。ただでさえスウォッチの公式サイトはレイアウトがごちゃごちゃしていて画像ばかりで重いし必要な情報にすぐアクセスできないのに。
渋谷のような危険な街で早朝から時間を潰せる場所も知らないし、潰したくもないので一度自宅に帰る決断をしました。こんな時間でも人が大勢いて改めて怖いところだなぁと感じましたね。
駅構内を移動中に偶然にも遭遇。大阪旅行で太陽の塔を見学して以来、一度見てみたいと思っていたんです。まさかこんな形になろうとは。渋谷になんてまずこないですからね、いつもなら人でごった返しているのだと思いますが流石にほぼ無人です。偉大な芸術家の作品を独り占めで鑑賞出来て、まだ来た甲斐はあったと救われた気持ちでした。
自宅に帰ってまずは朝ごはん。もうトイレを気にする必要もありません。10時半までたっぷり時間があるので朝に買ったゴルゴ13を読みます。ゴルゴを読むのは初めてだったのですが驚くほど読みやすく、なるほどこれは面白いなぁと一気に通し読みしてしまいました。
時計はハミルトンのカーキで。スウォッチグループの時計は手持ちでこれだけです。久々に着けましたがやはりしっくり馴染みます。
10時20分ごろに見に行くと既にご覧の有様でした。こりゃあ買えないなと思い遠巻きに眺めていると35分ぐらいに警察がやってきて「販売中止」の報が。色々な意味で徒労に終わった半日でした。
「殆どが転売ヤー」みたいなこと言ってる人が大勢いますが本当に行ったんでしょうか。確かにそういう風に見受けられる人もいたものの、大部分は自分用に欲しいと考える人だったんじゃないかと思います。私と同じようにサラリーマン風の人もそれなりにいて、仕事に都合をつけるのに苦労した人も多いんじゃないかと考えると胸が痛みます。
なるべく主観を入れず事実だけを書いたつもりですが、スウォッチ側のずさんな情報管理は目に余ります。公式サイトに殆ど情報を載せない、あるいは載せていたのかもしれませんが、少なくとも当日までまずヒットしませんでした。
個人のいい加減なツイートを信用した方がいい結果を得られたり店頭の張り紙に気づかないと正確な情報が入手できないというのはどういうことなのか。何のための公式ですか？特にわざわざ出向いて訊いたのに張り紙のことを何も教えなかった店員には怒りを覚えますが、きっと同じような質問を何度もされてうんざりしていたのでしょう。そもそも重要情報が一か所からしか確認できないというのがおかしいのです。
混乱については言うまでもないですね。予測できなかったはずがない。「騒ぎになって販売中止ならそれはそれで広告になっていい」ぐらいのこと思ってたんじゃないかと邪推してしまいます。
正直私はヨーロッパのメーカーを（というより彼らの取る販売戦略を）信用していないので、限定じゃないやら後日ネット販売するやら言っても果たして有言実行するだろうか疑問でした。だからわざわざ買いに行ったわけですが、今回の有様を見てますますその考えが正しいと思わざるを得ません。本当に手に入る日はくるのか？なんにしても「オメガ」のブランドバリューの凄まじさを実感させられた騒動でした。
＜追記＞
なんか凄まじいアクセス頂いてます。あざます！！本当は時間かけて書いた他の記事読んでほしいんですが...勢いで書いたので見返すとだいぶ粗が目立つ記事ですがありのままの記録として編集せずこのまま残しておこうと思います。
宣言通りネットで販売されたようですが転売で凄い高値がついてますね。正直自分は熱が引いてしまってもう欲しいとは思えません。それでも久しぶりにワクワクできる体験をくれたことには感謝していますし、懲りずに（準備不足は改めてほしいけど）こういうサプライズを続けてほしいです。
